2014年9月27日土曜日

音盤テルトン(7) George Coleman Octet-その3 PORI JAZZ FESTIVAL 1980 + MONTREUX 1980 + EUROPE 1981

本エントリーは
stod phyogs 2014年9月27日土曜日 音盤テルトン(7) George Coleman Octet-その3
からの移籍です。日付は初出と同じです。

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2曲目はA Few Miles from Memphis。作曲はHarold Mabern。Mabernのデビュー作、

Harold Mabern/A FEW MILES FROM MEMPHIS [Prestige] 1968

のアルバム・タイトルにもなっています。なかなかカッコイイ曲です。この曲ではFrank Strozierがたっぷりフィーチャーされます。

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ソロ回しは、

GC(ts)→DM(tp)→FS(as)→HM(p)

最初はもちろんGeorge Coleman。ここでも物凄いソロを繰り広げます。ここでも循環奏法とフラジオを延々続けるなど圧倒的です。

公式録音ではなぜこれが出ないのか・・・と忸怩たる思いになりますが。

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続いてはDanny Moore(tp)。可もなく不可もなくという演奏。短い。

Danny Mooreも地道に活動を続けている人でしたが、2005年に亡くなりました。

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そしていよいよFrank Strozier(as)のソロ。親分の11コーラスを超える13コーラスに渡ってソロを繰り広げます。大熱演。

この人は、リーダー作、

FANTASTIC Frank Strozier [Vee Jay] 1961

のジャケットで、ちょっと情けない顔をして写っています。「写りの悪い写真だなー」と常々思っていたのですが、George Coleman/REVIVAL裏ジャケからYouTubeでの映像まで、全部同じ顔してます(笑)。あれは地だったんですね。

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そしてまた最後はMabern(p)。こちらも快演といえるでしょう。この人の悪いクセ、単調な力技に陥る一歩手前でソロを切り上げたのは正解(笑)。

最後のテーマのユニゾンがまたカッコイイこと。とにかくソロといいアンサンブルといい、George Colemanの最高傑作に間違いありません。

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ソロはありませんが、Sal Nistico、Mario Riveraの存在も重要でしょう。

1980年版OctetでアンサンブルがかなりこなれてきているのはNisticoの力と見ているのですが、どうでしょうか。1991年死去。

Mario RiveraはLatin Jazz畑の人。リーダー作は1作しかありませんが、MachitoからEddie Palmieri、Tito Puenteと大編成ものでは引っ張りだこです。

バリトン担当のことが多いようですが、サックスは何でもこなします。さらにフルートやトランペットまでこなすマルチ奏者。OctetのJoggin'という曲はRiveraのバリトンが効果的に使われた名曲。

Pori 1980では、バリトンで急速調の曲を軽々とこなします。凄い。ソロも聴きたかったですね。2007年に亡くなりました。

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1980年のツアーからは、YouTubeにMontreux Jazz Festivalでのステージがアップされていますが、Poriの方が断然いいですね。

1981年にもヨーロッパ・ツアーを行っており、この時のメンバーはasがFrank StrozierからBobby Watsonに代わっています(注)。

その時の様子もYouTubeにいくつかアップされていますが、いずれもPori 1980を超えるものではありません。

ただしClint Houstonの華麗なテクニックを見ることができたのは大収穫。これには是非驚いて下さい。

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それにしてもGeorge Colemanの実力が公式盤ではほとんど発揮されないのはどうしたことなのでしょう。スタジオよりもライブで実力を発揮するタイプなのかもしれません。

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さてここで補足説明。

Pori Jazz Festivalの音源をNHK-FMに提供したEBUとは、European Broadcast Union(欧州放送連合)。ヨーロッパ各国のTV・ラジオ放送局の共同体で、ソフト・ハード双方で協同体制を作っています。

夏場あちこちで開催されているJazz Festivalsの録音は、各地からEBUが購入し、さらに各国に配信されているらしい。

日本ではNHK-FMが録音をEBUから買ってきて、その抜粋をよく放送していました。これが貧乏人にはありがたかった。エアチェックしまくりましたよ。1980~82年ころの録音をたくさん保有しています。これで初めて知ったミュージシャンもたくさんいました。

当時のテープもいまだに聞きますが、30年以上たってもそれほど劣化していない。結構丈夫なもんですね。TDKに感謝。

参考:

・ウィキペディア > 欧州放送連合
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E6%94%BE%E9%80%81%E9%80%A3%E5%90%88

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このPori 1980、George Colemanご本人のサイトのディスコグラフィー

・george coleman > discography
http://www.georgecoleman.com/discography_frame_index.html

には載っていませんが、前述のFrank Strozierのディスコグラフィー

・Noal Cohen's Jazz History Website > Discography > The Frank Strozier Discograohy > Frank Strozier Page > The Frank Strozier Discography (2014/08/18)
http://www.attictoys.com/FrankStrozier/Frank_Strozier_discography.php

では、しっかり取り上げられています。

同じ2曲しかないところをみると、出元は日本でのAir Checkかもしれません。あるいは、もともとEBUの配信はこの2曲だけだったのかもしれませんが。

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Pori Jazz FestivalのWebsite

・PORI JAZZ INTERNATIONAL FESTIVAL EVERY YEAR IN JULY > Festival Year : History of Pori Jazz. International Every Year in July > Choose Year : Festival Year 1980 > Performers G-K > George Coleman Octet
http://porijazz.fi/historia/index.php?classname=festivalyear&lang=&methodname=performer&lang=en&artist_no=9004&year=1980

では1980年のベスト・パフォーマンスとされています。

録音は、フィンランドの放送局かEBUか同フェスティヴァル事務局が絶対保管しているはずですから、誰か発掘してリリースしてほしい。残り曲もあるはずです。

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George Colemanの凄さについては、いずれHilton Ruizあたりとからめてまた紹介しましょう。

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(注)

Bobby Watsonは1981年にJazz Messengersから独立したばかりで、当時売り出し中だった。

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